はじめまして。くんぱす先生と申します。
認知症疾患センターを担う精神科病院の認知症治療病棟医をしています。認知症サポート医でもあり、とうきょうオレンジドクターでもあります。(「とうきょうオレンジドクター」とは、都内に勤務し、地域包括支援センターなどの地域の関係機関と連携して活動できる、東京都が認定する認知症サポート医です。)
おそらく、これを読んでいるあなたは日々認知症に関わり、悩んでいらっっしゃるのではないでしょうか。
そう、私はあなたのように”認知症に関わるサポーターのサポート”をしたくてこのサイトを作りました。
わたしの歩み
医師として臨床診療を行い15年以上が経過し、現在は認知症疾患センターの認知症治療病棟で勤務しています。
認知症に向き合うまでは初期研修を2年終え、基幹型病院を中心に内科医として勤務してきました。
医師として一人前になるべくがむしゃらに時間が許す限り臨床経験を積み、総合内科専門医をはじめ内科系専門医を3つ取得し、気付けば研修医へ指導する立場となり刺激し合いながら内科診療にどっぷりと浸かっていました。
そんな中、年数が経過するにつれて患者層の高齢化とともに認知症と関わる機会が増えていくことをひしひしと感じていました。
今後、医師として【認知症】と向かい合わざるを得ない状況が必ずやってくる。
出産を経て、3次救急まで対応するような総合病院での勤務から一旦離れる時期が訪れました。
私は「介護老人保健施設(老健)」の施設医師として働き始めました。以前より感じていた”認知症と向き合うとき”がやってきたのです。
そこから数年は認知症患者さんご本人の診療・介護ケアに携わりました。
今までの総合病院では診れなかった退院後のその先です。急性期治療を終えた高齢の患者さんがどのようにその後を過ごしているのかを知りました。
徘徊が絶えない方、不眠で夜間に大声を出してしまう方、怒りっぽさや介護への抵抗がある方、そんな方々の症状を薬で軽減できないか、どうしたらケアや環境の工夫で問題行動を和らげることができるか、そんなことを独学で学んでいく日々でした。
数年後、認知症疾患センターでもある精神科病院の内科医として認知症治療病棟に勤務することになりました。
とはいえ、内科医として身体合併症のコントロールや治療を行う一方で、認知症の症状に対する診療が大半を占めていました。
総合病院でバリバリ勤務してきた今までの自分と、今診療している内容のギャップに、”内科医としてのアイデンティティ”を見失いかけたこともありました。
私は内科医なんだろうか、精神科医なんだろうか。何者なんだろうか。
そんな思いを抱えながらも、日々認知症と向き合うご本人・ご家族・ケアをする人と接するうちに、そういった枠を超え、向き合うべきものがあるのではないか、と思うようになりました。
何者でもいいじゃないか。
自分がここにいる意味は自分で作るしかない。
私にできることはなんだろうか。
内科的診療もでき、認知症症状に対する治療もできるのであれば高齢の患者さんに網羅的に向き合えるはず。
むしろ、”強み”ではないか。
こう考えられるようになり、今に至ります。
私は何者でもありません。そういった”肩書き”は持ち合わせていません。
〇〇科医という枠から出られなかった今までの自分よりも、困っている人に手を差し伸べやすくなったと今では思います。
ここでお伝えしたいこと ~”枠”をこえて~
そして、ここにきて下さったあなたへ。
”病院” ”クリニック”という医療機関としての枠の中からは超えられない壁を、私は日々感じています。
【認知症】という病名がついたご本人の診療は保険診療内でできるのに、ご本人を日々支える家族やサポーターの皆さんの診療や手助けは保険診療内ではできない。
病院で医師がなにかするとなると、”診療”となり保険診療なのか自由診療なのかと枠が設けられてしまう。
【認知症】と歩むためにはご本人だけでなく、その周りの方へのサポートが欠かせません。
そんな”枠”を超えたサポートができるようにという思いでこのサイトを作りました。
認知症疾患センターで働く医師としての見解を交え、一般の方にも認知症のことが徐々に身近に感じられるようにお伝えしていきたい。
私が勤務する認知症疾患センターでは、まだ認知症ではない方の予防検診から、軽度認知機能障害をお持ちの方の外来診療、さらに施設でもケアが難しくなった重度認知症の方、そして終末期のお看取りまで全段階の患者さんを診療しています。
その全段階において、ご本人をサポートするサポーターを支える必要があると感じました。
私は日頃、入院される患者さんのご家族と入院時にゆっくりとお話を伺います。
ここまでよくご自宅で介護されてこられましたね。
そう声をかけると、何かの栓を抜いてしまったかのようにご家族の目からあふれ出す涙。
ご本人の前では気丈に振舞っていたご家族の張りつめていた気持ちが、その一瞬でこれでもかというくらいに伝わってきました。
もう少し早く手を差し伸べることができたなら
そんなご家族の涙をみて思うことがあります。
ここまで張りつめる前に我々にできることがあるのではないだろうか。
一緒に住んでいるご家族、在宅介護されている方、施設でケアにあたっている介護職、包括支援センターの職員、市役所の高齢福祉課など地域の高齢者を対応される方など、認知症に携わる方は多岐に渡ります。
みなさん日々いろいろな思いを抱えながら認知症を支えているのですが、そんなみなさんへのサポートは現状十分ではないと感じています。
困っているのはご本人だけではない。サポーターのサポートをしたい。
そんな思いをこのサイトでお伝えできたらいいな、と思います。
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