認知症って予防できるの?(運動編)【お悩みQ&A】

お悩みQ&A

こんにちは。くんぱす先生です。

私は認知症疾患センターに勤務する医師で、認知症予防健診から終末期のお看取りまで認知症の全段階の診療を日々行っています。

このサイトでは、日々認知症診療に携わる医師の立場から、認知症介護をされている方にとって助けとなる内容を発信しています。

診察室では認知症ご本人の診察が中心となってしまうので、介護者のサポートがしたくてサイトを立ち上げました。

くんぱす先生
くんぱす先生

【認知症の予防】について今現在分かっていることをお話していきます。

介護をしながら、「自分も将来認知症になるのかな」と心配になる方は多いです。

人は、”知らない””分からない”ことに不安や恐怖を感じます。

認知症について少しずつでも知っていくことでむやみに恐れず、一歩一歩進んでいくことができると思うのです。

今回は「認知症予防につながる運動ってどんなもの?」というテーマです。

みなさんはこう思っていらっしゃいませんか?

「運動がいい」「運動しなさい」って耳にタコが何匹もできてるよ。

とはいえ、習慣化が難しいんだよ。そんな時間ないし。

お気持ち、分かります。

かく言う私自身も、今年に入るまで運動は皆無でしたから。

新たなことを始めるときって、”できない理由”はゴロゴロとでてきます。探さなくても手を伸ばせば触れられるほどに。

アドラー心理学的にいうと、「”できない”んじゃない、”やらない”と自分自身が決めた」んです。

この記事を読むことで、”今あなたにできることは何か”をはっきりさせて、闇雲に未来に不安にならずに今を見つめることができたら嬉しいです。

*この記事を書くにあたり一部参考にさせて頂いたのがこちら↓。国立長寿医療研究センターが作成した患者さん・ご家族向けのハンドブックです。外来患者さんにもおすすめしています。一度もご覧になったことがない方は是非。

運動習慣がある人は認知症になりにくいって本当?

健常高齢者を対象とした研究で、運動習慣がない人は週2-3回以上の運動習慣がある人に比べて、認知症になるリスクが1.82倍であることが報告されました。

高齢者を対象とした調査で、定期的な運動(週3回、週2時間以上)をしていた人は認知症になる危険性が低いことがわかりました。

”週3回・週2時間以上”というのは、例えば1回30分のウォーキングを週4日以上行うことで達成できるレベルです。

ウォーキングよりもハードな運動(早歩きなど)を週3日以上継続している人は、運動習慣のない人(週1日以下)に比べて50%も認知症になりにくいことがわかっています。

運動によって認知機能が向上する!?

運動をすることで、脳の血流量が増加したり神経細胞が増えるといわれています。

また習慣的に運動する人は、全般的に健康対して意識が高い傾向にあるため、食事に気を付けたりと生活習慣病の予防にも繋がっているといえます。

さらに、運動は気持ちの面でも”抑うつ”になりにくい効果があり、睡眠の質に影響も与えるので複合的に認知症の予防効果があるといえるでしょう。

他人と一緒に行う運動の場合、人との交流により認知機能に好影響があるといわれています。

運動を習慣的に行うと

  • 認知症になりにくい
  • 認知機能の向上の可能性も
  • 生活習慣病予防
  • 精神面での安定
  • 良質な睡眠へ
  • 人との交流

具体的にどんな運動をしたらいいの?

結論、好きな運動が一番いいと思います。

学生時代にしていたスポーツ、近所のお友達がおすすめしているもの、流行りのもの、憧れのもの、、

正直なんでも習慣化できそうなものならいいと思います。

”なんでも”と言われると困る、という方へ向けていくつかご紹介します。

有酸素運動

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • ダンス

など

からだ全体を用いて一定時間継続的に行う運動を指します。

筋トレ

  • スクワット
  • 自重トレーニング

など

コグニサイズ

国立長寿医療研究センターが開発した運動認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語です。

英語のcognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせてcognicise(コグニサイズ)と言います。

運動で体の健康を促すと同時に、脳の活動を活発にする機会を増やし、認知症の発症を遅延させることを目的とつくられました。

自治体のイベントや認知症カフェで催されていることもあるので、ご興味ある方はみてみてください。(国立長寿医療研究センター予防老年学研究部HP)

運動の種別は問わず、上記のものを同時に組み合わせたり、日によって変えたりしても構いません。

以上、いくつかご提案しましたが、いろいろと思いつくものに挑戦してみて習慣化につながるものを続けたらいいと思います。

完璧主義にならないこと

習慣化で大切なのは、何日かできない日が続いても”やめないこと”です。

真面目な方こそ、自分の描いたシナリオから少しでも外れると「続かなかった、、」とやめてしまいがちです。

人生、そうシナリオ通りにはいきません。

風邪をひいて1-2週間できないとき、仕事が立て込んで自分時間がないとき、子どものことで手が回らないとき、あると思います。

それでも、その波が一旦去って凪の時期がきたら「よし、再開するか。」と軽い気持ちでまた始めればいいんです。

だからしばらくお休みしていた期間があっても、「また続かなかった」と自己暗示するのではなく、「もう少し待っててね」と自分自身に言ってあげましょう。

自分を下げるも上げるも自分次第です。

今、運動習慣のない人は”伸びしろしかありません”。この先、成長する道しかないんです。

ワクワクしませんか?

今の一日一日が未来の自分を作っているのは紛れもない事実。これは自分に限らず、全人類共通の事実です。

一緒にやってみませんか?

くんぱす先生

認知症疾患センターに勤務する総合内科専門医。
日々の認知症診療で、患者さんを支える家族などのサポートが足りないことを痛感し、ブログやYouTubeでの発信を決意。
現場で働くからこそ伝えたいこと、お話したいことを発信。
保険診療では手が届かない「サポータ―のサポート」を日々診療にあたる医師目線で行うサイト。

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