親の介護について思うこと

想い・考え

こんにちは。くんぱす先生です。

私は認知症疾患医療センターに勤務する医師で、認知症予防健診から終末期のお看取りまで認知症の全段階の診療を日々行っています。

診察室では認知症ご本人の診察が中心となってしまうので、介護者のサポートがしたくてサイトを立ち上げました。

このサイトでは、日々認知症診療に携わる医師の立場から、認知症介護をされている方にとって助けとなる内容を発信しています。

くんぱす先生
くんぱす先生

今回は私の主観を語ります。

医師としてというより”一人のであり、でもある”立場から思う『親の介護について』です。

”子”であり”親”である

10組親子がいれば、10通りの親子関係が存在すると思います。

それぞれに正解も不正解もない、そう思うのです。

だから、自分の親が認知症になりどんな気持ちを抱くのか、どのようなサポートをしたいと思うのかも十人十色なのです。

できる限り自宅で同居して最期まで看たいと思う子。

できる限り接することなく手を煩わせないで欲しいと思う子。

どちらの気持ちもあって当然なのです。

私も”子”の一人であります。それと同時に”親”の一人でもあります。

だから、介護される”親”側の気持ちもなんとなく分かるのです。

ほとんどの親は「子を困らせたくない」と思う

親になったことがある方へ質問です。

『子に望むことはなんですか?』

答えは様々だと思います。

とにかく健康であって欲しい。

自分の好きな道で幸せを感じて生きて欲しい。

親より先に死なないで欲しい。

これもまた十人十色の願いがあることでしょう。

ただ一つ言えることがあります。

自分(親)のことで苦労して欲しいなんて思わない

これはほとんどの場合で共通していることではないでしょうか。

稀に、親の面倒を看るのが子の役目だという考えの親もいるかもしれませんが少数派だと信じたいです。

認知症になった親の気持ち

自分(親)の介護で疲弊する子の姿を、親は望んでいるのでしょうか。

私はそうは思いません。

子が自分のためにしている介護ならば、それが幸せならば、いいと思います。

ただ、現実そういったケースはとても少ないです。

社会人としての責任を全うしながら、親として育児をし、夫や妻として世帯を担い、さらに親の介護をストレスなく行うのは至難の業です。

どうして自分だけ、、

なぜ親は認知症になってしまったのか

この生活はいつまで続くのだろうか

こういった負の感情を抱えながら、日々をこなす姿を親が望んでいるでしょうか。

自分(親)のことはいいから早く寝なさい。

あなたはちゃんとご飯を食べたの?

具合が悪いなら無理しないで休んでいなさい。

きっと疲れ果てたあなたに対して、親はこう思うはずです。

もしかしたら今はちゃんと言葉では伝えられないかもしれない。

裏腹な言動を子にぶつけてしまっているかもしれない。

それは認知症の症状であって、本心ではないと私は思うのです。

なぜなら私も一人の親だから。

かつてのお父さん、お母さんはあなたの幸せを一番に望んでくれていたはずです。

あなたにはあなたの人生があり、自分で道を切り拓いて親を超えて進んで行って欲しいと思っているはずです。

『親孝行』はここまで生きてきただけで済んでいるのです。

適切な距離感を保とう

介護者が笑って日々を過ごし、食事を美味しいと思い、将来をワクワクして過ごせるようなそんな距離感で認知症と向き合って欲しいと思っています。

なぜならば、認知症のご本人がそんなあなたの姿を望んでいると思うからです。

あなたが小さかったときにお父さんお母さんがかけてくれた言葉を思い出して、幸せを感じて生きて欲しいと思います。

お互いにありがとうと思える関係性で最期を迎えて欲しいと思います。

くんぱす先生

認知症疾患センターに勤務する総合内科専門医。
日々の認知症診療で、患者さんを支える家族などのサポートが足りないことを痛感し、ブログやYouTubeでの発信を決意。
現場で働くからこそ伝えたいこと、お話したいことを発信。
保険診療では手が届かない「サポータ―のサポート」を日々診療にあたる医師目線で行うサイト。

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